FC2ブログ

2017-08-05

CVポート -21世紀の延命措置-

CVポートとは中心静脈カテーテル(いわゆるCV)を永続的に使用するために

カテーテルおよび点滴針を刺す“ポート”と呼ばれるものを

皮下に埋め込む手術(処置)です。

中心静脈カテーテルは、頚静脈や鎖骨下静脈などを穿刺して

大静脈までカテーテルを挿入する方法で

これによって、腕などのいわゆる“末梢”血管からの点滴では使用できない

高カロリーの輸液などをする方法です。

この中心静脈カテーテルは、長期的に使用していると

感染や事故抜去などのリスクがありますが

これを永続的に使用するためにカテーテルをポートに接続して

ポートごと皮下に埋め込んでしまおうというのがCVポートです。

臨床的には抗癌剤治療で長期的に、

かつ反復的に点滴をする必要がある場合に頻用されている処置です。

最近、療養型病院から増加している依頼が、そのCVポート造設です。

療養型病院…それが意味するところは、特に何かの疾患があるというよりも

認知機能もあやしく、身体機能も低下して寝たきり状態

となっているような高齢者が長期間…というより死ぬまでずっと入院している

そんな負の側面を持つ病院なわけです。

かつて、そのような患者に対しては「胃婁」を作るのが一種の流行でした。

胃婁がある限り、自力で食事が摂れなくても生きていけたわけですが

いわゆる植物状態であるとか、スパゲティ症候群とか

そういった状況になってまで生きていることが、そして生かしていくことが

果たして是なのか…

といった議論の高まりによって嫌厭されるようになった処置です。

最近では胃婁を希望する方も、それを望むご家族も

本当に少なくなったと思います。

しかし

その一方で増えているのが「CVポート造設」なのです。

CVポートがあれば病院側は1日に1回点滴を交換するだけ…

胃婁よりも楽ちんなんです。

そして患者家族も、胃婁よりも“なんか延命治療してる感”が少なくて

どうやら罪悪感や抵抗感もあまり感じないらしく

あっさり同意するケースが多いようです。

残酷なことを言ってしまえば

自力で食事が摂れず、身体を動かすこともなく、まして意識もはっきりしない

そんな風になって、点滴確保が難しくなったのなら

枯れるように死んでいくのが定めなのだと思うのですが

(この理論の延長線上に植松聖の思想があるわけですけれど)

とにかく最近の流行りはCVポートを作って寝かせておく…

そんな感じです。

胃婁に取って代わって、まさに21世紀の延命措置。

依頼を受けている外科医として、この問題は考え物だと思っています。

スポンサーサイト

コメントの投稿

管理者にだけ表示を許可する

プロフィール

Saga of Gemini

Author:Saga of Gemini
一外科医として
今、できることを。。。

最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QR